Concept2

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OriHimeプロジェクト


OriHimeの役割

 かつて、私が体調を崩して友人らのパーティーに行けなかったとき、雰囲気だけでも味わいたいと電話をかけた事がある。何人かに電話を変わってもらい10分ほど話したが、電話のむこう側は盛り上がっていて、自分が迷惑をかけている気がし、申し訳なくなり切る事にした。
 誰もが、そういった経験はあると思う。

 電話は、相手にとって電話の時間でしかなく、日常やその場に入り込む事は出来ない。しかしそんなとき、自由に動かせる自分の分身がそこにあり、私がそこに”居る”のだと周囲に感じさせる事ができるならば。
 その発想で制作したのが、分身コミュニケーションデバイス、OriHime(Human型)である。

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 OriHimeは内部にカメラ、マイク、スピーカーを内蔵し、このOriHimeが家にいれば、自分がもし入院して病院にいたとしても、病室の自分のPCからOriHimeの視界や音などの感覚を共有し、家の中を自由に動き回り、家族と一緒にテレビを見たり、客人を歓迎したり、団欒に参加する事が可能となる。

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 これの実現には機能だけでなく、適切な外見や動き方も考える必要がある。人が動かすロボットを人として存在を認識し、操縦者が他の者らに認識してもらっている感覚を得るための存在伝達の研究を行なっている。

JSECパネルのコピー.jpgクリックで拡大表示 動きはパントマイムの師に弟子入りし、自身でパントマイムや演劇の感情表現の動きを取り入れ、独自に発案した機構でエモーショナルなポージングを可能にしている。また、膝を曲げず、つま先と踵を使った歩行が可能だ。
 頭部のデザインは、いくつかの動物を観察し、また見方によって感情が変化して見える能面を参考にし設計した。第一段階では少し動物らしさのない宇宙人のような顔であり外見の”少し怖い”感覚から愛らしい動作により”可愛い”への印象変化をさせる事での愛着変化度の向上を試みたものである。自由度の変化にともない、第二、第三段階と、徐々に小動物らしい顔つきへ変更している。


OriHime-mini- の誕生

このOriHimeを使ってみたいという声があったが、高価かつ複雑なOriHimeを使ってもらうわけにもいかず、OriHimeの開発で得たノウハウを活かした小型バージョンを開発する事にした。

DSC00417-2.jpg USBでPCと接続し、世界中のどこからでも、誰でも簡単に操作できるOriHime-mini-は、一体一体がハンドメイドに関わらず大学や老人ホームに購入され、卒業研究や高齢者とのコミュニケーションの実践の場で使用された。2012年現在までに40台をハンドメイドしてきた。
 実際に病院で使ってもらい意見をもらい、腕や足がついたバージョンや、ぬいぐるみ外装など、ユーザの意見をすぐに反映してデバイスの試作、実験を行なっている。

205.jpg 一利用例として、心臓移植などで無菌室に入院している子どもが、OriHime-mini-を用いて家に帰り、無菌室などでお見舞いに来れない兄弟や家族と、一緒にテレビを見たり、宿題をするといった利用がされている。



『本来一緒にいられる家族や友人、
 会いたい人と一緒に居られる、一緒に何かを出来る。』


そんな未来の実現を目指し、私は活動を行なっている。



2012年9月 ロボットコミュニケーター 吉藤オリィ



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